塗装の基礎知識

実は劣化じゃない!? 外壁に現れる“白い現象”の正体とは

 

「外壁にうっすら白い汚れが出てきたけど…カビ?」

そんな現象を目にしたことはありませんか?

その正体は“エフロレッセンス”と呼ばれるものかもしれません。聞き慣れない名前かもしれませんが、実は多くの家で起こり得る、ちょっと特殊な現象です。

 

エフロレッセンスとは?──白くなる理由、ざっくり知っておきましょう

 

別名“白華現象”、見た目はカビっぽいけど実は違う

 

外壁やブロック塀、玄関アプローチなどで、白い粉状のものが浮き出ていることがあります。これが「エフロレッセンス」。別名「白華(はっか)現象」とも呼ばれます。見た目はカビやホコリのようですが、実際はコンクリートやモルタルなどに含まれる成分が、雨などの水分と反応して表面に現れた“結晶”なのです。

 

原因① 経年劣化による水分と成分の移動

 

外壁内部に入り込んだ水分が、セメントに含まれるカルシウム成分などを溶かし、それが表面に染み出してきます。空気中の二酸化炭素と反応して白い物質に変化し、粉状または結晶状になって浮き出てくる、という仕組みです。

 

原因② 補修や塗装のちょっとした不備から出ることも

 

塗装工事、防水工事、補修工事の際に不備があった場合にも、内部に水が滞留しやすくなり、白華現象の原因になることがあります。

工事不備の例:

・ストレート屋根の縁切り不足

・防水工事の防水処理の不備

など

 

“コンクリート系・モルタル系”で起きやすい傾向

 

エフロレッセンスは、主にモルタルやコンクリート系の建材で起こりやすく、金属サイディングでは、見られません。打ちっぱなしコンクリートや塀・擁壁があるお住まいでは、より身近な現象といえるでしょう。

 

放っておいていい?判断の分かれ目はここ!

 

「白くなってるけど、放っておいても大丈夫なのか…?」と悩む方も多いはず。結論から言えば、「場合による」というのが正直なところです。

 

様子見OK:薄い広がり、進行も遅いケース

 

白さが目立たず、面積も小さい、そして新築直後であれば、経過観察で問題ないことが多いです。時間の経過や雨によって自然に薄れるケースもあります。

 

注意が必要:再発を繰り返す/広がりが早い/水はけが悪い場所

 

同じ場所に何度も現れる、あるいはじわじわと面積が広がってきているようであれば、内部に慢性的な水分滞留がある可能性があります。特に日当たりが悪い場所や、水はけの悪い箇所は注意が必要です。

 

“汚れ”よりも“中の劣化”が怖いケースもある

 

表面の白さよりも、中で何が起きているかが重要です。見えない場所で水が動いている=劣化が始まっているサインでもあるのです

 

どう直す?エフロレッセンスの基本的な対処法

 

もし補修が必要だと判断された場合、以下のような方法があります。

 

専用の薬剤で除去する方法

 

ホームセンターなどで市販されている専用の除去剤を使う方法があります。粉状になっている白華は比較的取りやすいですが、頑固な結晶になっている場合は刷毛やブラシでこすり落とす必要があります。ただし、素材によっては薬剤の使用に注意が必要です

 

再発防止には塗装が一般的

 

白華を取り除いたあとに防水性のある塗料で再塗装することで、再発を防ぐことができます。とくにコンクリート打ちっぱなしなど、保護層が少ない素材には効果的です。